先輩起業家のストーリー 冨士川さん パート2

安東さんのところで昨年から研修生として働く冨士川さんに話を伺いました。パート2では、気になるお金の話、A-nokerでの日々、将来について語ってくれました。是非最後までお読みください。

冨士川さん
熊本県出身
小売店の店長を経て昨年移住
研修生としてA-nokerに参画

気になるおかねの話

−そんな制度になっているんですね。それじゃあ貯蓄がない人が始めようとすると、なかなか難しいのも分かる気がします。いまは良いとして、将来に向けてはどうのように考えているんですか。

今のうちから動かないといけないことがたくさんあります。研修ではなく、自分自身で経営を開始するために、土地の確保とビニルハウスの見積もりに動いています。県の助成金もあるので、そういった制度も活用します。早ければ、2019年の4月か5月にハウスを建てられるかもしれません。遅くとも9月までにはハウスを建てる予定です。

−すごい!農業を初めてからまだ1年も経っていないのに、そこまで計画が進められているんですね。とはいえ、ハウス代等は助成金を活用できたとして、野菜もすぐできて現金化できるわけでもないですよね。当分の生活費の工面はどう考えているのですか。
来年の秋にハウスが建っても、アスパラガスは定植してから、売上を作れるまで2年間はかかります。農業次世代人材投資資金を来年の5月からは研修型ではなく、経営開始型に以降予定です。そうすると150万円の助成金をもらいながら、安東さんのところで働いて給与をいただくこともできます。もちろん、他の農家さんのところでバイトをしようとも考えています。

−研修型じゃなくなることで、安東さんからも給与を受け取れるなら、生活はかなり安定しそうですね。でも、そもそも土地を買うとか借りるって大変じゃないですか。

土地を買うとなると1反(300坪)60万~80万と聞いています。坪単価にすると坪2,000円〜2,700円くらい。借りるとなるともちろん安くて、月数万円で2反とか3反借りている方もいらっしゃるそうです。

−600坪の土地が数万円で借りられるのですね。田舎の農地はやっぱり安いですね。先程ハウスを建てる話がありましたが、助成金以外ではどんなお金の工面をする予定なのですか。

新規就農者に向けた政策金融公庫の融資があります。限度額が3,200万円ですが、12年間無利子で借りられます。最初の2年は返済しない設定ができるので、当初売上がなくても大丈夫なんです。

−なるほど。当初の2年間売上が上がらなくても、それなら安心して取り組めますね。

A-nokerでの毎日について

引き続き安東さんのところで働き続けるということですが、安東さんのところで働くという意味では実際どうですか。

働かせていただけているのが有難い話です。自分の出会えた環境が恵まれています。感謝の気持ちが大きくて、受け入れてくれているだけでも感謝です。

−良い話ですね。でも、やっぱり不満とかもありますよね。

日々いろんなことがあるので、不満に思うことが全くないわけではないです。ただ、それは些末なことで、ここでやれて良かったですし、感謝しかないですね。普通に考えて、突然訪ねてきた人間を、田舎の農家が受け入れてくれること自体そんなにない話なんです。他で出会った農家には「農業やるなんて、やめとけやめとけ」と言われたことの方が多かったですよ。

−良い思いができている農家自体が少ないから、やめとけって話になるのかもしれないですね。

安東さんは、前向きに新規就農者を増やしたいと考えていらっしゃるので、その点も良かったですね。

−実際に移住して住んでみていかがですか。
住み心地は良いですよ。嫌なところはないですね。もちろん、不便さはありますから、都会型の生活が普通だと思っていたら、難しいかもしれないです。毎晩お店で飲み歩きたい人からすると合わないでしょう。田舎だから車がないと話にもなりません。

教わること・聞ける人がいること

−そうかぁ。それはラッキーですね。具体的に安東さんからはどんなことを教わっているのですか。

年間を通して、この時期はこういうことをやるというノウハウをイチから全て教わっています。ただ教わるだけじゃなくて、その時々に、目的も一緒に教えてもらっています。消毒は◯◯という虫が出てきているから、そのために消毒しようとかですね。

−ただ作業をお願いされるだけじゃなくて、きちんと目的とロジックが伝わるのは、ご自身で独立してやる将来のことを考えても重要ですね。

思い通りにいかなかった場合に、相談できる師匠がいるのは大きいですね。相談できる師匠がいる環境で農業を始めることが大事だと思います。

−確かに、ゼロイチで始めるときに、聞ける人がいるのは大きいですね。

自分が間違った方向性にいるかもしれないときに、きちんとした良い人に相談ができるのは大きいです。1人でやる意識じゃなくて、困ったときに頼れる人がいるかどうか。悪い言い方をすると他力本願かもしれないですが、自分が来年借りる予定の土地は、安東さんの農場の真下にあります。そいういった面でも、将来に対しての安心感があります。

−それだけ近い距離でやれるのであれば、そりゃ安心ですね。なにかあったら、すぐに現場を見てもらったりとか、頼れる存在が近くにいるのが心強いのは分かります。ただ、身近に信頼ができる人がいても、農業自体が簡単ではないと思うのですが、なにが難しいと考えていますか。

状況判断が難しいですね。いま何をしなければいけないか。液肥を与えるときに、いま必要な液肥は何が適正か。病虫害もなにが発生していて、どう対処すべきか。日々毎日のしごとの中で決断をしなければいけません。しかも、生き物が相手なので、後戻りができない決断です。

−後戻りができない決断というのは、自然相手の仕事につきものなのかもしれませんね。

自分が経験したうえでの答えではないですが、ベテラン農家の方と話をしていても、「20年みかんを作ってきて、最近やっと分かるようになった」と言われることがあるんです。そういうものなんだなと思って日々研鑽するしかないですね。

−そうか。面白いですね。ちなみに、アスパラ農家だからこその難しさって、なにかありますか。

他の農家の作業でやらなかったことは、畝をガスバーナーで焼く作業ですかね。ガスバーナーとかの火を扱った経験がなかったから、最初は独自の怖さがありました。他は特殊なことはないんじゃないですかね。

−では、アスパラ農家だからこその良さはどんなものがありますか。

毎日収穫できるのは、面白いですね。収入的な意味でいっても、毎日現金化できることは、やりがいに繋がります。他の作物だと、収穫期の期間しか現金化できない品目もあったり、途中で全滅するようなこともあります。だけど、アスパラの場合は収穫期間が長くて、毎日収穫できるのが利点です。あっという間に成長していくので、見ていても楽しいですよ。

目標と今後

−将来的な目標とかってあるんですか。

今は金銭的な目標は具体的にはないですね。食っていければ良いと思って始めたので、最低でも年間400万は稼ぎたいですが、多分大丈夫だと思います。

−ちゃんと、そこまでみえているのなら良いですね。他に農業をやってみて良かったと思えることはありますか。

心の回復ができました。ここで暮らしているからか、ストレスがない生活をしているので、幸せですね。

−それはなによりですね。あと気になる点としては、そもそも今の段階で食べていけるのかというのが、多くの人が疑問に思うことですが、その点はいかがですか。

−ありがとうございます。最後に冨士川さんのように働きたいと思って、これから訪れるかもしれない人にメッセージをお願いできますか。

店長職を長いことやっていたので、ある程度丁寧に教えることもできると思います。ぜひ一度実際に現場に来てもらって、この場所を感じてもらいたいですね。