先輩起業家のストーリー 冨士川さん パート1

安東さんのところで昨年から研修生として働く冨士川さんに話を伺いました。実際に現場で働いている人が、どういった経緯で、どのように成長しているのか。農業の実態や、太良町について。是非最後までお読みください。

冨士川さん
熊本県出身
小売店の店長を経て昨年移住
研修生としてA-nokerに参画

きっかけ

−なぜ安東さんのところで農家として働くことになったのですか?

当時、転職を考えていたんです。元々働いていた会社では、正直なところ仕事を続けた先の将来が考えられなかった。今年40歳なのですが、50歳60歳になったときに良い未来を描けませんでした。

−多くの方が抱えている悩みかもしれませんね。ちなみに、当時はどのような仕事をされていたのですか?
小売業の店長です。業界自体が右肩下がりで厳しいのですが、周りの先輩をみたときに、病気をしたときに首を切られたり、60手前で病気になって働けなくなって自主退職していく人たちがいて、10年後はまだなんとかなるかもしれないけど、15年、20年後は怪しいなと考えていた矢先に、巡り合ったのが農業でした.

全く関係のない職業からの転職だったわけですね。ちなみに、なぜ農業だったのでしょうか?

友人に転職の相談をしていたときに、転職に何を求めているかを整理して考えると、いくつかキーワードが出てきたんです。
「大金を稼ぎたいわけではない」「やりがいがあることをしたい」「ずっとやり続けられる仕事が良い」「人の役に立つ職業に就きたい」
「周りの人に良かったと言われる仕事をしたい」こうやって出てきたキーワードが、どれも農業に当てはまるんです。
モノを生み出すことがやりたかったんですね。美味しいもの作ったら喜ばれますから。
それは気持ち分かります!やっぱり人に喜ばれることの嬉しさは欠かせませんよね。それにしても、農業と決めた後に、どのようにして安東さんと知り合ったのでしょうか。

やりたいです

転職の相談をした友人が、たまたま安東さんのことを知っていて、直接話を聞いてみようとなったんです。

−おぉ。それは縁がありますね。安東さんのところには何回くらい来て、ここで働くと決めたんですか。

去年の7月に会社を辞めて、8月の中旬に初めて農場に来ました。安東さんから話を聞いて、9月の半ばにもう一度来て、9月末に3回目に来たときには「やりたいです」と伝えていました。

−結構早く決心がついたんですね。でも、かなり田舎ですし、不安や恐れはなかったんですか。

初めて来たときから、良いところだなという印象でした。自分自身の出身が熊本県の玉東町という地域なのですが、みかんの産地として共通していたこともあり、そもそも田舎に抵抗はなかったです。

−実際に移住して住んでみていかがですか。
住み心地は良いですよ。嫌なところはないですね。もちろん、不便さはありますから、都会型の生活が普通だと思っていたら、難しいかもしれないです。毎晩お店で飲み歩きたい人からすると合わないでしょう。田舎だから車がないと話にもなりません。

農作業をやってみる

−そうなんですね。人によって向き不向きはあるものですよね。とはいえ、冨士川さんは農作業はやったことなかったんでしょうから、その点での心配はどうだったんですか。

初めて収穫作業をさせてもらったときは、一列収穫しただけで、ぜーはーと息切れするくらい大変でした。ただ、それでもやってみたいという気持ちが湧いたんです。あと、自分に自信がないかったのは105kgも体重があって、畑仕事という肉体労働ができるかどうかが一番不安でした。

−確かにそれだけの巨漢だと心配ですが、1年やって不安は解消されましたか。

今のところ問題なくできているけれど、体重は減ってないですね(笑)肉体労働だから、キツイなと思うときはあって、そのときは自分でコントロールして休憩してやっています。自営であるからこそ、休み過ぎれば仕事が進まなくなるけど、自己責任で最低限のノルマは達成しています。

−自分で時間もコントロールできるのは良いですね。実際に農業に携わるようになって、農業という仕事に対しては、どのような想いがありますか。

特別な資格も必要ないですし、性格的に向いているのではないかと思っていたのですが、合っていたようです。僕の長所は、友人曰く素直であること。人から言われることを、なんでもかんでも言いなりになるわけじゃないけど、素直に聞くことができるんです。知らないことだらけの中で安東さんが教えてくれることを、コツコツ真面目にやって、怠けないのが向いているのだと思います。

仕事の違い・生活

−なんだか良い話ですね!そうすると、前の仕事やめてしまったことの後悔とかはないですか。

全く後悔はしていないですね。もちろん、今でも毎日仕事していて職場に行きたくないと思うこともあります。全ての作業が苦しくないわけでも、楽しいわけでもないです。ただ、やり甲斐を感じられていて、何のためにやっている作業かが分かっているから、大変なことでもできるんです。前職でも15年間何のためにやるのかを理解しながら仕事をしていましたが、小売業で成果を感じるのは難しかったですね。

−確かに、あるものを売る仕事と、自ら作る仕事って結構違いますものね。ちなみに、親御さんは農業に就くことで心配されたりしなかったんですか。

親は食っていけるのか心配していました。保証があるわけでもないし、当時は上手に説明できなかったけど、今は良好な関係になっています。安心しきっているわけではないと思うけど、前の仕事をやめる経緯も含めて説明したことで納得してくれました。

−それはなによりですね。あと気になる点としては、そもそも今の段階で食べていけるのかというのが、多くの人が疑問に思うことですが、その点はいかがですか。

今は蓄えを切り崩しているのと、農業次世代人材投資資金をもらっています。農業次世代人材投資資金は年間150万円もらえる助成金ですね。

−年間150万円しかもらえないとなると、それだけで生活するのは厳しいですね。

貯金がゼロの人が始めるのは難しいですね。僕の場合は失業保険をもらっていた期間もあったり、貯金も200万円ちょっとあったので、なんとか食い繋いでいますが、手を打たないと底をつきます。

−それ結構ヤバイですね。具体的にはどうされるのですか。

当面は150万円の助成金に加えて、アスパラガスの仕事がない11月と12月は、よその農家さんで仕事をする予定です。11月12月はみかん農家さんでフルで働けば食べるのに困ることはありません。

−それでも結構ギリギリな話なんですね。そもそも安東さんから給与をもらうことはできないのですか。

研修型の助成金は、研修先の農家と雇用契約をしてはいけない決まりになっているんです。安東さんは研修先なので、他の農家さんのところでバイトをするなりして、別で稼がないといけません。